三省懇談会という超上流の話と電書ビジネスの超現場の話が同時に聞ける、お得なお知らせ

2010/10/29

総務省が、平成22年度「新ICT利活用サービス創出支援事業」(電子出版の環境整備)について提案の公募を行い、審査結果の発表がありましたね。多分この辺のネタは林さんも取り上げてくるネタだと思うので、わたしのほうは簡単な概略だけをまずはご紹介。

1.国内ファイルフォーマット(中間(交換)フォーマット)の共通化に向けた環境整備(報告書で掲げられた「電子出版日本語フォーマット統一規格会議(仮称)」の設置・運営を含む。)

  • 電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト

2.書誌情報(MARC等)フォーマットの確立に向けた環境整備(報告書で掲げられた「電子出版書誌データフォーマット標準化会議(仮称)」の設置・運営を含む。)

  • 次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備

3.メタデータの相互運用性の確保に向けた環境整備

  • メタデータ情報基盤構築事業

4.記事、目次等の単位で細分化されたコンテンツ配信等の実現に向けた環境整備

  • 次世代電子出版コンテンツID 推進プロジェクト

5.電子出版のアクセシビリティの確保

  • アクセシビリティを考慮した電子出版サービスの実現

6.書店を通じた電子出版と紙の出版物のシナジー効果の発揮

  • 書店店頭とネットワークでの電子出版の販売を実現するハイブリッド型電子出版流通の基盤技術の標準化および実証

7.その他電子出版の制作・流通の促進に向けた環境整備

  • EPUB 日本語拡張仕様策定
  • 研究・教育機関における電子ブック利用拡大のための環境整備
  • 図書館デジタルコンテンツ流通促進プロジェクト
  • 電子出版の流通促進のための情報共有クラウドの構築と書店店頭での同システムの活用施策プロジェクト

こういった環境整備事業に8億円超の予算が投じられるらしく、わたしのような現場でePub作っているのとは次元が違い過ぎなのであまり余計な事は書かないように自重しないと地雷踏みそうですがw

一つだけ触れておきたいのは、XMDFなりドットブックのような縦書き対応など日本の出版物を扱えるフォーマットは確かに国が支援すべき重要な施策 だ思います。ただ、草の根レベルとしては、やはりePubは国際的に見てデファクト的なポジションですし、クールジャパンとか日本の文化を世界に発信して いくという先を見ているなら、XMDFビルダーを数十万の費用を払って会社購入しないと日本語フォーマットの電子出版には参入できないよ...みたいな話には なって欲しくないという事と、大手の会社がパワーで押し切る電子書籍ビジネスは早いとこ一段落ついてもらって、オープンフォーマットを活用しながら、ほん と沢山の人たちが電子出版に関わるようなモデルの草の根的な成功事例が出てくることを願っていたりするのでした。

ちなみに11月19日に谷川さんと一緒にこちらのセミナーでお話させていただく機会を得まして、

これは冒頭紹介したる三省懇談会(デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会 )の担当者である総務省の松田昇剛氏が参加される他、株式会社情報通信総合研究所の水野秀幸氏は日米それぞれの電子書籍市場についての情報を提供いただけ るようで、そこに私の谷川さんが現場にどっぷりの状態で話しをさせていただくというマジで講演の幅が広すぎだろ!という好企画w

なんと言うか、ここ数年のソーシャルメディアの隆盛って、個人のパワーが先行しながら、エンタープライズ系のモノに波及してくるという、軍用から民 間へ...というような昔の構図とはまさに正反対の展開を見せている事例が多く存在するなかで、政府の考える方向性と取り組みと、我々のように草の根活動をし ながら暗中模索で電子書籍ビジネスに取り組んでいる話がセットで展開されることで、自分としても何かまた新しい気づきを得られるのではないか...と期待をし ています。

何というか自分がこれまでと違うステージに移行するということは必然的に出会う人々も変化するのが必然な訳で、わたしの場合電子書籍に関わるぞ!と 宣言してから、明らかに人との出会いが増えましたしって、でも普通に考えて総務省の人と私が同じところで話しをする事自体がある意味まずいですよね...と (苦笑)

ただしこうやって、小さな取り組みが実績として積み上げられることで色々な話が増殖しつつある現在、先が見えない困難さも味わってはいますが、それ には代え難いモノが得られているのは確実で、これが既存のレールからは外れてはしまったけど独立・起業した人間の最大の特権かもしれないと改めて感じてい るのでした。

Paypalのmicropayments pricingを実際に登録してみたよ!

2010/10/27

現在の仕事の取り組みの一環として電子書籍の企画と制作実務のお手伝いだけではなく、何かしらサイトで販売の流れを提供することも必須要項だったり して、その一例として先日もちらっとPaypalと組み合わせて使用するダウンロード販売の仕組の紹介をさせていただきました。

米国でも電子書籍については書籍販売市場において順調に数字を伸ばしているとメディアパブさんのほうでも伝えておられますが、オンラインで電子書籍 のファイルを売買するとして、そこはやはり少額決済の部類に入りますから、クレジット決済などで差し引かれる決済手数料は小さいに超したことはないですよ ね。

著者の方が自身のサイトで電子書籍の販売をされるなら我々としては迷わずPaypalをお勧めしていた訳ですが、ここ数日でもうやっぱPaypalしかないでしょう!という出来事がありました。

ブックマークが1200以上もついているのでかなり多くの方がご存じとは思いますが、それはPaypalがmicropayments pricing というシステムを取り入れたというもので、単価2,357円までの決済であれば、このMicropaymentサービスを使うと手数料が下がるという情 報。ご覧のように電子書籍で取り扱われる価格帯として多いと思われる金額について生じる差額の例示をしてみたいと思います。

                                                                                                                                                                 
資金の受領レート電子書籍の販売価格
  100200300400500600
Micropayment5.0% +  ¥7 JPY121722273237
月間販売の受取り総額30万までの場合の取引あたりの手数料3.6%    + ¥40 JPY444751545862
 差額323029272625

詳細についてはこちら朝山貴生さんのブログをご覧いただければと思いますが、

実務担当の私としては、自分のお客さんに説明・解説するために、早速自身のアカウントをmicropayments pricingに対応させる実験をしてみました。

まずはサイト(https://micropayments.paypal-labs.com/)に接続してサインアップ

Paypal_micropayments_01

手続き自体は何ら難しいことはなく、こちらのページで国を選択

Paypal_micropayments_05

ログインをしてボタンを押すだけ。

Paypal_micropayments_03

Paypal_micropayments_04

ただこちらのページGoogle Chromeでちゃんと動作しないので登録ページに遷移できませんから、micropaymentsに申し込みならIEかFFで接続しましょう。

登録手続きから、半日程度経過すると「PayPal micropayments pricing request completed」というメールが届いて

Thanks for applying for micropayment pricing.  We've finished processing your request and have changed your pricing to the micropayment rate.  The new pricing will be applied to any payments you receive, regardless of the transaction size.

こんなお知らせが届きます。

手続きはこんな簡単ですから、Paypalを利用してご自身の著書をオンラインで販売したいという方は是非利用されてみてはいかがでしょうか?

こちらのサービス注意点としては、Paypalのアカウント全体にこの料率が適用されるとのことなので、2,357円以上の商品も扱っている...という方の場合には、別アカでmicropaymentsを利用したほうが良いケースもあるようです。

わたしも自分で実験した上で、早速実案件でもmicropaymentsをお客様に提案、どんどん利用促進していきたいと思います。

佐々木 康彦 Twitterアカウントはこちら。 http://twitter.com/yasusasaki
企業HP制作、電子書籍ビジネスについてのご相談はこちら。 http://www.cmpunch.com

iPadで表示できないFLASHをGALAXYはどう表示してくれるのか?

2010/10/21

意図せず公開書簡じゃないですが、ブログやらTwitterのメッセージを通じてAndroidOSで楽器アプリがどんなのがあるのか...とか FLASHの動き具合はどんな案配なのだろう...などいろいろな疑問が頭をよぎっていたわけですが、その疑問のいくつかを解決すべく今日も有楽町を経由する ことに(苦笑)

まずは目的のサイトに到達するために、開いたページはこちら!

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AndroidOSというかギャラクシーシリーズはSとTabどちらも大きさ的にも良い感じの端末で、以前にiPhoneで盛り上がったようなガ ジェット演奏体験がここに再来するのか...などと妄想してみた訳ですが、楽器アプリがそのマーケットに投入されなくてもFALSHで動作するならそのままブ ラウザで楽器演奏できるのか試してみることにしました。

結果としては、わたしに情報提供してくれた方もすでに書かれているのですけど、操作しているうちに画面が拡大してしまうとか、時にはスクロールしてしまいまい、つまみをいじくるのはちょっと辛い状況。

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Audiotoolはもう少し先の楽しみにとっておくとして、FLASHによる音楽試聴システムを入れているサイトいくつかに接続してその動作を無 事確認。ただし操作性については前述のようにちょっと難点があり、可能ならこういうデバイス向けの代替表示が出来ればいいのに...と思ったのが正直なところ です。

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ギャラクシーTabでAmazonの試聴コンテンツ(ジャパンミュージックデータ)を開いたところ

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ギャラクシーSでHMVのFLASHビデオを閲覧しているところ


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ギャラクシーSでHMVの試聴コンテンツを開いたところ(モノとしてはアマゾンと同じジャパンミュージックデータの試聴コンテンツ)

昨晩の感想として「FLASHが動く」は本当なんですが非常に微妙な感じですから、ビジュアルが切り替わる程度のFLASHなら放置しておいても良 いかもしれませんが、コンテンツに誘導するメニューをFLASHで提供してるとか、導線として切らしたくないモノがあるサイトではデバイスへのアクセシビ リティ確保を検討してみる良い時期なのかもしれない...とホームページ制作会社の人として、こういうお仕事が増えてくれるといいな~という期待も込めつつ、 今日のエントリはギャラクシーTabでAppleのHTML5紹介サイトを表示した例をお見せしながら失礼したいと思いますm(__)m

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Galaxy TabにはiBooksにそっくりなeBookというアプリが搭載されている事が判明

2010/10/18

evernoteが凄いよな...と思うのはOSを問わずローカルにファイルも保存しつつ、Webブラウザでもクラウド活用できて、そこにはスマート フォンでもアクセス可能で自分の保管していた情報やらファイルやらを活用することが基本無料で実現してしまうということ。これにより自分の持つ知識とか情 報の断片をいつでもデジタル利用可能にしてくれました。

アマゾンはこのevernoteのようなアクセシビリティをKindleやKindle for PCなどを提供することで読書においても同等の体験を提供しようとしています。

ePubフォーマットはオープンなフォーマットとは言いつつも、自分の場合つい最近iPadがこのフォーマットを採用した事でその活用方法に目覚め た新参者ではありますが、ここ最近書かせていただいた一連のエントリをご覧いただくと、ePubの浸透がPCやインターネットが個人に与えてくれた変革を 個人出版や電子出版という分野で起こす可能性について感じていただけるのではないかと思います。

欧米圏においてはそれなりの数のデバイスが投入された状況で、日本においてはiPad、iPhone、Kindleなどの他、これからガラパゴスや ギャラクシー・タブ、Sony Readerが市場に出てくる夜明け前の状態で、昨日も触れたように電子書籍元年が単なる一過性のブームで終るかどうかはまだ見えません。

電子書籍リーダー8選のエントリで紹介したビデオ英語なので詳しいことは分からん...という方でも「フォーマット」とか「ePub」という単語が出て くるのは分かっていただけますよね、ガラパゴスの実機はまだ触れていませんが、「Galaxy Tab」についてはドコモが開設したDoCoMo smartphone loungeが有楽町にあってそこで実機を触ることができます。

そこで改めて考えたのはサムソンの「Galaxy Tab」はiPadと違い自立したデバイスですから、そこで動いているアプリは今後アンドロイドOSで動くさまざまデバイスで動いてくれるでしょう。そし て現在iPadなりiPhoneで見ているePubの再現性の高いePubリーダーがアンドロイドOSに搭載されていたりすると俄然ePubへの見方が日 本でも好意的な方向に傾くのではないかと推測しています。

実用性の観点でKindleはそのデバイスだけでなく各種スマートフォンからPC向けのアプリを提供し高度なアクセシビリティを実現しており、これと同等のことをePubで実現出来そうとなのは現状Koboのサービスと思われます。

ただKoboのリーダーアプリの浸透度は日本においては非常に低いと推測され今後の展開が気になるところですが、それ以前のレベルのところで実はこ れまでiBooksで読んでもらうためのePubによる電子書籍を制作しても、スタンザやKoboと言ったビューワーのみならずPCベースのePubリー ダーアプリのCSS解釈とレンダリングはiBooksに比べると美しいと感じるものが皆無の状態で、クリエイティブの観点からするとがっかりすることも多 かったのです。

それがふと立ち寄ったDoCoMo smartphone loungeで、「Galaxy Tab」に搭載されている「ブック」(外国語OSではeBook)というアプリは良くも悪くもiBooksにそっくりな事を知りました。

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(出典:Galaxy Tabの海外向けのプロモーションビデオ画面より)

書棚からレンダリングの雰囲気まであまりのそっくり加減に思わず苦笑してしまいましたが、

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この「ブック」アプリ、日本におけるePub利用の可能性を拡大させるためにも大いに期待をしたいと思います。

この件については今夜も続報エントリをアップする予定ですのでご期待ください。

Galaxy Tabを電子書籍リーダーという観点からiPadと比較してみる #itmgalaxy

2010/10/18

週間ダイヤモンド10月16日号「電子書籍入門 読み方・買い方はこう変わる!」においてGalaxy Tabは個別デバイス紹介ページで

(Galaxy Tabについて)業界関係者は一様に「iPadに対抗できる唯一の端末だ」と話す

と紹介されていました。今日はそのGalaxy Tabの実機を体験できるイベントに参加しているので参加エントリを書いてみたいと思います。

まずGalaxy TabはiPadと違い母艦を必要としないマシンですよね...と、

という事はiPadは一応iBooksのストアに本体から接続してePubを購入出来る仕組みになってはいますけど日本のiBooksがオープンし ていない事と、正規品という言い方も変ですがiBooksやGoogleブックスへの書籍登録にはISBNが取られているものが前提だったりして、個人出 版のような状態でこういった電子書籍のストアに掲載するのは難しい状態だと推測されまます。

このような状況において個人による電子出版を行うとなるとWebサイトやブログなどからePubファイルをダウンロード販売する事になるわけですが、残念ながら現状iPadではiBooksでePubを開く関連付けをできないんですよね...

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ポッドキャストで配信という手もありますがこれは販売物ではなくフリーペーパー向きの方式だったりして...

この当たり前な事が出来ないというのはePub形式で電子雑誌の制作・発行をしている立場として大変悔しいものがあったのですけど、Galaxy Tabのほうはこんな感じでWebサイトからePubをダウンロードして

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自動でブックアプリの本棚に電子書籍を入れてくれるではありませんか(嬉!

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このGalaxy Tabの「ブック」というアプリ、今朝アップしたエントリにも書きましたけどiBooksに見た目や操作性、そして表示の感じもそっくりです。これを物真 似を批判するのは簡単な事なのですけど、電子書籍の制作をする立場としてはこの「ブック」と「iBooks」の表示にそれほど大きな差が無い...というのは 大変ありがたいことで、

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現状Appleが独自拡張で対応しているビデオの埋め込みには対応はしていないようですが、これもePubの仕様がアップデートしていくなかで解決可能な問題だと思います。

何より嬉しいのはこの「ブック」がGalaxy Tabに搭載されて、これまではタブレットデバイスと言ってもipadしか無かった状態でその市場性に疑問を持たれていた著者や出版社の方々にePub形 式による電子書籍流通の可能性を前向きに捉えていただく絶好の機会になるかと思います。

自分としてはこのあとSAMSUNG電子の担当者に「ブック」アプリの仕様と、DOCOMO担当者には個人のePubファイルをドコモマーケットに掲載する道があるのかどうかを訪ねてみたいと思うのでした。

追記:本日ご紹介したePubによる電子書籍はこちらのサイトから無料でご覧いただけます。音楽好きな方は是非手にとってみてください。

電子書籍元年が単なる一過性のブームで終らないために

2010/10/17

kindleの登場から電子書籍についての検索数が増加傾向にあり、
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iPadの検索数も一緒に比較するとiPadの話題性の高さが際立っていることが分かります。

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PDFやFLASH形式のめくれる電子カタログも当然ながらkindleとiPad登場以前から電子書籍として扱われていたわけですが、画面にその 紙面レイアウトをフィットした状態で展開した場合、まず最初にページを自分が読める状態の文字の大きさまでフォントサイズ(拡大率)を変更する作業が発生 するのがどうにも自分には馴染めませんでした。

それと、電子カタログ形式の場合、拡大して表示領域を移動させると、その移動距離が自分の予想を超えていた場合、どこを読んでいるのかさっぱり分か らなくなったり、PDFの場合にはオーサリング時のページ数が基準となっていますから、ページ送りをすると画面で見えていない部分があっても次のページを 表示する事になるので、数十ページをスクロールさせながら読んでいくのはユーザ体験としてあまり歓迎しない...という方も多いのではと思います。

資料もしくは読書した電子カタログにマーキングやメモ、付箋を貼っておくことも機能的には現在多くの電子カタログが備えていますが、オンライン接続 が前提のためいつでも、どこでも...という事には向いておらず、PDFにおいてはiAnnotate PDFはPDFに書き込みなどを行うアプリとして便利な存在ですが、PCの利用環境においてはやはりアクロバットリーダーを使う事が圧倒的多数であり、 PDF自体は非常に多機能ではありますが一般ユーザは無料のリーダーで使える機能は基本的なところだけの状態であったりします。

自分たちは現在ePubだけに固執するつもりはありませんが、電子化された書籍というのはこういう形であってほしい...という目線で考えたときに、た またまePubは誰もが安価にそれを実現する機能を持っていると思ったので多くの人にこの利用価値を認めていただけるよう色んなところで話をしている訳で すが、どうしても電子をやると紙がなくなる...という考えで拒否反応を示される事もあるので、そこは別に「電子だけ」ではなく、「紙も電子も」で考えてみて いただきたいのですけど、

例えば、電子カタログ形式のオーサリングソフトも前述のようにマーキングやメモ、付箋機能を付与出来るものも増えていますが、これを著者や出版社が 独自にコンテンツを制作・流通させようろ思った場合、自前でオーサリングソフトの購入が必要になり、それなりの費用とスキル習熟までの負担が求められま す。

PDFは紙用のレイアウトを完璧に再現はしてくれ、テキスト情報を保持していれば検索も可能な電子の紙にはなるのですけれど、その紙面レイアウトに こだわるあまり、読むためにはいちいち拡大率を調整する事と、その状態からそれなりのページ数を読み進むには非常に忍耐が必要になるケースが多くあったり して、

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これが読みやすいのか...というと意見が分かれるところかと思います。

ePubは誰もがフリーのソフトで作成でき、先日こちらの記事で紹介したように多くのデバイスで表示可能なフォーマットで、そして何よりその表示するデバイスごとにまず読めるフォントサイズでページを表示してくれるのが自分は気に入っています。

ビジネス的な観点ですと、iPadやiPhoneのiBooksという括りだけですとその市場性はたかが知れていますが、koboのサービスはきっとePubにおけるkindleのようなサービスが可能になるはず。

また電子書籍の蔵書が増える事で見えてくる有用性もあって、それを多くの方に感じていただけるように架空の書棚を3つ作ってみました。

まず最初は趣味系の書棚の例

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いまは毎月の購入はしていませんが、やはり相当な長きにわたり趣味に関する雑誌を買い続けその保管に苦労していた訳ですが、マニアにとっては何年か に1度しか見ない情報でもそれを「保有」している事が重要であり、ePubファイルをローカルに保持して物理的なスペースを消費する事なく自分の好きな分 野の雑誌をストックできるのは、その雑誌の愛読者としての「喜び」であったりしますよね。

家庭においての本棚としての例

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地方にお住まいの方ですと本を置くスペースが不足するとかあり得ない話かもしれませんけど、都市部においての住宅スペースは洋服をしまうとか一般生活の収納スペースにも苦労するような状態で本棚にその多くの場所を割けるというのはやはりそれなりの財力を必要とします。

物理的なスペースの節約、ゴミの軽減のために新聞も取らないという生活パターンも増えていると思うのですが、定番中の定番と言われる書籍や、図鑑・ 全集のたぐいなど、子供が自分から買うことはないけど自宅の本棚にそのような本が並んで、手にしようと思ったときにある事は重要なはずで、こういった電子 書棚を家庭内で共有ライブラリ化しておくこともデジタルな生活には必要と思われ、この辺はAppleTVなりGoogleTVが浸透していく中で多くの人 が可能性に気がついてくれると思います。

関連書籍を含め知識・情報をパッケージ化した本棚の例

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自分なりの勉強のためであったり、人に何かを教える立場で知識を習得してそれを形にまとめていくなど、何かひとつのテーマを掘り下げていこうとした場合、関連する本が相当数出てきますよね。

例えばここでは、宮沢章夫氏の「80年代地下文化論」から派生する関連書籍で埋まった書棚の例を示してみました。

音楽もそうですが自分が高校時代にLP1枚買うのもそれなりに大変でした...こういう自分の経験を踏まえると、より多くの人が、多くの書籍を読むこと でそのレベルを高めていくのに電子書籍が普及することは金銭負担を軽くするという意味でも有効でしょうし、授業のために参考図書を持ち運ぶ体力的な負担も 軽くしてくれるのは皆歓迎してくれるのではないでしょうか。

電子書籍元年が単なる一過性のブームで終る可能性も否定できません...一部に電子化が文化の衰退を招く的な指摘をされている場合も見受けられるのです が、今回紹介したような「電子だけ」ではなく「紙も電子も」という観点で考えた場合、皆さんの書棚が気に入った書籍で埋まるまでの時間が経過しないことに はその良さに気がついてもらうのは中々難しいと思われ、なんとかそこまで電子書籍熱が冷めないことを祈るばかりです。


電子書籍、粗利97.1%だとしても売れなきゃ話は始まらない(汗

2010/10/14

村上さんの「androbook」のエントリがこれまた凄い事になっているようですが、iPhoneなりiPadで正規ルートで個人出版しようとすると確かにつらいものがあり、無料の写真集を配布するなら、連番JPEGのZipファイルを配る方式になるのかな...と

http://blogs.itmedia.co.jp/yasusasaki/files/PhotoCollection_small.zip

↑iPadのSafaliでzipファイルのアドレス直打ちだとこんな操作でダウンロードと閲覧できて、多分この方法が一番シンプルだと思うのですが、

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たとえばURLスキーマを使って開くアプリを指定してしまう方法もありますから、例えばi文庫HDですと作品に関してのメタ情報の記載方法も公開されているので、

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i文庫HD用のリンクを記載したwebページ

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リンクをクリックするとi文庫HDが自動で立ち上がります

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ダウンロードが完了するとダウンロード途中では判読できなかったメタ情報が参照できるようになります

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読むを押すと、本棚に追加され、

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後は普通に写真集として楽しんでいただける状態になります

こういった作品の配布にはURLスキーマを活用した配布方法のほうがスマートな感じがするのではないか...と個人的には考えています。

「androbook」のエントリではとっても簡単に販売金額の設定やコピー防止の設定がも出来るところが実際に示されていて、この辺について現状 iPadやiPhoneのほうはかなり残念な状態であったりするのですが、個人出版のレベルであれば十分使えるのではないか?と思えるダウンロード販売用 の決済サービスを見つけました。そのサービスはこちらの

Paypalは少額決済向きでここ最近日本のサイトでも利用しているサイトがかなり増えている印象ありますが、残念な事にダウンロード販売には対応していなかったんですよね。

こちらの「らくらくダウンロードβ」は、Paypalのサービスと連動して購入手続きが完了したユーザに自動でダウンロード用のURLが記載されたメールを送信してくれるという嬉しいサービスで、なんと現在は無料で利用できるのです。

通常のPaypal課金のボタンと連携しつつ、
Web

ダウンロード用URLを付与してこんなメールを送信してくれます
Mail

この仕組みを使った場合、冒頭で紹介したようなiPadやiPhoneのアプリで直接ファイルを開く方式ではなく、一旦PCのほうにダウンロードし てiTunesのほうから読み込む方式を取ることになるのですけど、購入手続きについては通常のPaypal決済の何ら変わりませんので、後はファイルを ダウンロードしてiTunesにファイルを登録する操作説明を準備してあげれば、写真集や漫画、文章主体の書籍を個人販売出来ます。

コピーコントロールが効かないところに懸念を持たれる方もいらっしゃるとは思うのですが、その反面この仕組み の良いところはAppleの審査が無いので、内容面でも自由だし、発売のタイミングについても自分でコントロールできる事がなかなか捨てがたい魅力だった りする訳です。

多くの見込み客との接点を確保するためにAppStoreやiBooksに掲載することのメリットは多大なモノがあると思いますが、審査やISBN の取得、そして手数料の事を考えると今日ご紹介した方法でもいいや...と考える方もそれなりにいらっしゃると思いますので、ご興味ある方は早速登録して、

AmazonもAppleの力も借りずに自力で粗利97.1%(※)にトライしてみるというのはどうでしょう?

でも、今日のタイトルのように、粗利97.1%だとしても売れなきゃ話は始まらないですよね(汗


※PayPalの国内支払いの取引手数料は月間販売の受取り総額30万以下の場合、3.6% + ¥40 JPYが必要となり、1千万以上の場合には2.9% + ¥40 JPYが適用されます。手数料について詳しい情報はこちらをご覧ください。

週間ダイヤモンド:GALAPAGOSの主要文書フォーマットの欄に「XMDF」という記述しかないのに思わず苦笑

2010/10/13

私のブログを定期訪問いただいている皆さんであれば、週間ダイヤモンドの最新号「電子書籍入門 読み方・買い方はこう変わる!」をご覧になった方多いと思います。

端末情報を含め、様々な角度から電子書籍とそれを取り巻くビジネス環境についての紹介記事があり、その中身はさまざまな工夫で読者と向き合う書店の 紹介、取次会社の存在意義から、電子書籍の自炊方法まで紹介されており、仕事としてこの分野に関わっている方だけでなく、これから電子媒体で読書してみた いな...と思ってらっしゃるあくまでユーザ目線の方にも参考になる記事が掲載されていましたね。

こちらの記事の中でわたし的に目にとまったネタ(?)をひとつご紹介w

昨日端末に関する映像をチョイスして紹介させていただきましたが、元ネタが海外仕様なのでその端末紹介の中で出てくる対応ファイルフォーマットに関 する単語としてやはり「ePub」という単語がそれぞれのビデオで出てくるので、やはりオープンフォーマットとしての存在感を感じた訳ですが、週間ダイヤ モンド版の端末紹介の規格表を見てちょっと驚いたのは、シャープのGALAPAGOSの主要文書フォーマットの欄に「XMDF」という記述しかないのにと 潔さというか、大胆だよな~と思わず苦笑してしまいました。

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電子書籍元年と言われている今年、

  • iPad以外のデバイスがどこまで販売を伸ばすのか...
  • もしくはPCで閲覧する電子書籍のところで市場拡大が得られるのか...

そのほかにもXMDF、次世代XMDFのオーサリングソフトの費用負担であったり、日本で流通するePubにDRMはどうしよう...とかいろいろ企業 側の心配の種は尽きない訳ですが、電子書籍市場が日本に定着するためには、電子出版への参入障壁は出来るだけ低くして、より多くのコンテンツが読者に届く ようにするのが本筋だよね...と今日は直球で終りたいと思います。

P.S.
昨日TwitterのTLでFM局が経営不振で免許返上しているって話を見かけたのですが、その話の流れの中でネットで聞けるラジ オが登場しても法律の縛りで、地域限定にしないと駄目なのよ...という投稿を見ながら、法律で規制・保護されていた分野の変化対応の難しさをこれまた感じて しまったのでした

追記です、コメントで

こちらだとHTML、PDF、ePub対応予定となってますね...ということで情報をいただいたので、リンクを張っておきます。

動画:最適な製品を見つけるために--電子書籍リーダー8選

2010/10/12

CNETのほうで「フォトレポート:最適な製品を見つけるために--電子書籍リーダー10選」という記事を見かけたので、やっぱり動作感を知るためには動画も参考になるよね...ということで、それぞれのデバイスの動作している様子を紹介している動画をご紹介。

まずは言わずとしれたiPad、ePubでテキストのマーキングなどの方法のほかiBooksでの書籍購入の方法が紹介されていますが、これが日本で実現してくれる日はいつになるのでしょうね...

次はKindle、こちらのコマーシャルはiPadというか光沢画面と価格面のメリットを強調というか、当てつけるCMに仕上がっていてそれなりに笑えますw

 Barnes & Nobleの「Nook」は日本人にはちょっと馴染みが薄いですけど、こちらのCMも「Nook」の独自機能をうまく紹介しているビデオ

「Kobo」BordersがライバルであるAmazonやBarnes & Nobleに対抗するために市場に送り出した電子書籍リーダーとのことですが、ページ送りなどを操作するブルーのボタンがシンプルで面白いです

「Sony Reader Touch」は今回紹介しているデバイスの中では、ペンで操作するところを強調しているのが特徴ですかね

「Alex」はAndoroidを搭載した電子書籍リーダーとのことですが、なんか長いですね~w操作感はBarnes & NobleのNookと似たような感じになってそうなのですが、eインクの画面の下の小さいウインドでWebブラウジングが出来てしまうと、結局読書に集 中できないような気がしますw

「Pandigital Novel」についてはCNETの記事では「数多くの小売店で見かけるようになってきている興味深い電子書籍リーダー」と紹介されているのですが、こちら のビデオを見ると箱には Barnes & Nobleって大きく書いてありますね。そのほか解説を聞いていると電子書籍リーダーという限定的な用途よりももう少し幅広いところを狙っているような感 じです。

とここまでがCNETで紹介されているデバイスのビデオ紹介版(スマートフォンデバイスは割愛)で、こちらの記事は英語版の翻訳記事なので日本人の私たちが気になるガラパゴスについての紹介は残念ながらされておりません。

で、このまま終る訳にもいかんだろ...ということでYoutubeで検索したらこういうビデオが出てきたのですが、ビデオの全体的の雰囲気からして違いを感じてしまったのは私だけでしょうかw

「元素図鑑」作者インタビューから電子書籍の成功要因を考えてみる

2010/10/11

書籍の世界では同じ内容なんだけどタイトルを替えたら売れてしまった...という例があるという話を聞いたことがあります。

あと表紙で売れるってケースもあるようで、我が家の息子も何年か前に太宰治の「人間失格」を「DEATH NOTE(デスノート)」小畑健さんバージョンになったのを買ってましたっけw

そして、最近感心したのは「超訳 ニーチェの言葉」なんですけど、何に感心したって、このニーチェの言葉を読んでいろいろ気になることが出てきて、自分としてはニーチェ全集の中から「人間 的、あまりに人間的」とか追加購入してみたんですけど、タイトルにもあるようにその「超訳」っぷりにですw

ここまでの話で何が言いたいかというと、イマドキ上手に商売をする人たちは、こうやって優れたコンテンツを再利用してマネタイズに成功しているよな...とこれ以外の例でも感じる事が多いというお話でして、

最初に紹介したタイトルの例は違いますが、それ以外の例は、そこで扱われているコンテンツは基本的にすでに著名な作品だったりして、やはり一定のネームバリューが再利用の成功の大きな要因であることは事実だと思います。

さて、わたしが最近電子書籍関係の制作だけでなく、企画の相談などにも関わっている中で、電子化に掛かるコストに対する考え方で案件が進展するか、 ストップするか非常に大きなポイントだったりする訳ですが、iPad用のアプリとして大成功を収めた「元素図鑑」の作者であるセオドア・グレイ氏のインタ ビューから感じるのは、既存コンテンツの電子化で成功するためのポイントとして大事なのは以下の2点のような気がします。

  • 電子化する事の意義を作者自身が強く感じている(そもそも電子のほうが向いているけど昔は紙しか無かったとか)
  • 電子化を決断した時点で、素材(写真・文章・回転するオブジェクトの素材)はすべて揃っていた

このような作者の情熱と最低限のコストでスタートできるというビジネスとしての側面からも好条件が揃っていた事はラッキーな訳ですけれど、もともとこの「元素図鑑」はiPad用の電子書籍が出来る前から、これだけのラインナップがあって、

 

それには出版社を含め相当なお金と労力が投じられている筈ですから、紙版の元素図鑑の販売価格は30ドル。発売以来9万部の売り上げで化学書として はかなりのベストセラーという背景を踏まえると、電子書籍化に掛かった2ヶ月間の開発費を十分に賄う利益がすでにあったから...と言われてしまうと身も蓋も ない話になってしまいますが、iPhone4用に新たにレイアウトをすべてやり直してしまう拘りから感じるのはやはり電子化する事の意義を著者自体が強く 感じているからではないでしょうか。

バブル時代ならいざしらず、サラリーマンという立場であれば、このコスト最優先の今の時代に会社の方針に歯向かってリスクを取るのは大変だと思われ ますから、電子出版については、あくまで出版社主導でと電子化に必要な開発コスト負担をお願いするモデルと、我々のような会社と作者主導で開発コストの負 担を含めた電子化作業と販売を行い、出版社側にはそれに応じた利益配分を行うモデルの2パターンで考えていくのが具体的な事案を増やしていくためには必要 だろうと考えています。

あとセオドア氏のインタビューでひと味違うな...と思ったのはこの一節

インタビュアーである林信行さんの「実際にこの本を教科に取り入れるような学校もあるのでしょうか」という質問に、こんな風に答えています。

この本は教科書になることを目指したのではありません。むしろ、子どもたちを豊かにする本として学校の図書館に置いてもらってに自発的に読んでもらったり、両親から買い与えてもらう本、というポジションを狙っています。

中略

もしこれが教科書に選ばれたり、政府公認のカリキュラムに組み込まれたら、急に退屈になって誰も読まなくなってしまうでしょう。

これって日本だったらもっと優等生的な答えが出てきたりすることが多いような気がするのですが、自分が夢中になれることをやれる事の大切さが@ITに掲載されたインタビューのほうにあるんですね。

最後にそのインタビューを紹介させてもらいますが、大事なポイントのところでも触れたように作者自身が電子化の意義を強く感じつつ、商売っけがない と生きていけないという事と一生懸命やったからといって、成功の保証はないという覚悟をもってその現実に向き合うことの大切さを改めて感じたつつ、やっぱ り感度の合う人との出会わなければ何にも始まらないのだよね...と思ったのでした。

――何でも、ご自身で手掛けるのは、とても大変そうです。

グレイ 自分が楽しまなければ良い仕事はできません。楽しくなければ、時間の無駄です。そんなことすぐに止めて、ほかに何か楽しめることをやった方がいい。そうすればもっと、上手くいくはずですよ。私自身、自分が好きじゃないことで何かを上手くやるのは苦手です。

 とはいっても、楽しくて、かつ、自分以外の人をも楽しませられることで食べていくのは大変なことです。商売っけが全然ないと、生きていけませんからね。

――どうすれば、楽しいことをやって生きていけるのでしょうか。

グレイ 何かにものすごく興味が湧いて、自分の"仕事"を放り出してでもやりたいと思えることができたら、それは良い予兆です。簡単な話、何かに長 い時間をかけたとしましょう。それが人がやったことのないたぐいのことだったと分かったら、それはすごく面白いことです。「元素図鑑」を作っていたときの ことを思い出しますけど、すごく楽しかったですよ! 2カ月間、それ以外は何もやらなかった。家族にも会わずにね。家族には悪かったけど、やったかいがありましたよ。

 ただ、運もあったとは思いますけどね。一生懸命やったからといって、成功の保証はないわけですし。時間をうんと使ったところで、何にもならないこ とだってありますから。失敗したって、誰が気にしてくれるもんですか(笑)。ただただ、楽しかったからこそ、できたことなのです。